参加作品一覧


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狭小恐怖症(ナロウ・フォビア)

 なにもないスペースというのは、かえって落ち着かないものだ。それにここは広すぎる。周囲をきょろきょろと見まわす広井は挙動不審な様子だった。
 ここは、どこだろう。追われるまま、わけもわからず逃げ込んでしまった。よくないクセだ。こういう場合、たいてい狭い場所へ追い込まれることになる。いつもの夢だと、そうなる。

 なんにもない、だだっ広い空間だった。広井はその隅っこのほうに身を寄せていた。狭い場所が苦手なくせに、広いところでは端へ端へと行きたがる。これは人間の習性だろうか? それとも自分だけか。

 しかし広い。地下にこんな空間を設けるなんて、あきらかに異常だ。地下鉄のあたらしい施工計画でも持ち上がっているのだろうか。あるいは核シェルター?

小説情報 短編 怖い:3 ID:269039大原英一

1111号室

111号室の洋室にあるクローゼットの中で咲良は小さな身体を震わせていた。両親が共働きの咲良はいつもと変わらず学校から下校し鍵を開けて家に入り宿題を広げて机に向かっていたが、玄関でガチャガチャと音がして不審に思い覗いてみると知らない男がドアを開けて入って来ようとしていた。

咲良は母親から言われた通り内側からチェーンロックをしていたので男はすぐには中に入れず苛立っている様子だった。(こ、怖い・・っひ・・ふぇ・・・ママ・・・助けて!!)
小学一年生の咲良はどうして良いか理解らなくて両親の寝室のクローゼットの中に隠れて泣きながら母親に携帯で連絡を取ろうとしたが仕事中で母親は電話には出ない。同じ階の住人達も平日の昼間は働きに出ていて留守なのか異辺に気付いて出て来る者はいなかった。

R15 残酷な描写あり マンション サイコ 怪奇現象 怨霊

小説情報 連載(全5部) 怖い:6 ID:409019柳乃奈緒

いただきます、或いは幻覚性摂食障害

 【幻覚性摂食障害】

 それぞれの弁当箱を自分の前に置き。
 いただきますと、エミと私とマイちゃんで声を揃えてから手を伸ばす。ほら、と蓋を開けてエミが自慢げに中身を私に見せてきた。

 見ると、爪や髪やぐちょりとした肉の塊、細かく砕かれた骨が箱の中に敷き詰められている。

「………………え?」

 私の動きが止まる。
 蓋からこぼれていた赤いソースは、ただの血液だった。
 横でエミちゃんも自分のお弁当を開ける。その中身も嫌でも私の視界に入る。

 幾束も渦巻かれた赤い血管、関節で切り揃えられた指、表面に毛のこびり付いた肌色の皮が、私の視界に入る。

 二人は当然のように自分の箸を取って、赤色に染まったお弁当を持つと、屍肉に群がるカラスのように中身をつつき始めた。
 ふ、二人とも、何してるの? そう訊ねるのが精一杯だ。
 マイが箸を動かすのを止め、不思議そうにこちらを見る。

「何してるの? 早く食べないと昼休みなんてすぐに終わっちゃうよ?」

 行儀悪く、食べながら笑って話す彼女の口の端から。


 粘り気のある真っ赤なソースが、糸を引いてだらりと垂れる。


 ※企画主題の『ホラー』に、幾らか  を足してみました
 ※人のいない所や暗い所、さらに食事中に読むには  が必要です

R15 残酷な描写あり

小説情報 短編 怖い:16 ID:449502デミこんにゃく

お雛様だけのひな人形

3月3日といえば"ひな祭り"


私はもう、中学生なので家族みんなで派手に祝うことはしないがひな人形だけは必ず毎年飾っている。



もうすぐ3月3日だ。今年も変わらずにひな人形はちゃんと飾ってある。



そんなある日、一緒に住んでいるお祖母ちゃんが友達の家からお雛様だけのひな人形を貰ってきた。

とても、可愛らしいお雛様だった。

飾らないでいるのはなんだか可愛そうだと思った。
だから、ちょうど空いていた棚の上に飾っておいた。




────この時はまだ、あんな事が起こるなんて少しも思わなかった。

小説情報 短編 怖い:8 ID:357699華七乃

ふえる髪

「やっといけた~」
 OLの河村 美香(かわむら みか)は念願の和室の部屋を借りることができた。
 荷物の整理をして、最後に布団をしまおうと押入れを開けたら、一本の髪の毛が入っていた。
 気持ち悪いからと、髪の毛を捨てたが、翌日になると髪の毛が二本に増えていた。
 日付が経つ毎に増えていく髪の毛。
 彼女はしばらくその髪の毛を捨てていたが、もう髪の毛のことを考えたくないという理由で、布団を出し、押入れを開けないようにした。
 それから、数ヶ月経ち、彼女は大掃除をするためにしばらく開けなかった押入れを再び開けた。
 そこで彼女が見たものは……。

R15

小説情報 連載(全3部) 怖い:7 ID:412381トマトも柄

とある博士の廃村探検

 おうい。

 おうい。

 ああ、やっと来た。まったく君という奴は歩き方まで弱々しいことだ。

「博士は本当にお強くていらっしゃいますから……」

 小木曽君がいつものように気の弱そうな笑みを浮かべて言うから、私としてはなけなしの教育者精神を刺激されもして、何とかこの学生をしゃっきりと男らしくしてやらねばと思い立つのだ。

 世に生まれついての強者たる人間などいやしない。心の持ち様だ。弱さに胡坐をかくことは楽そうに見えて辛い生き方である。

 今回の冒険にしてもそうだ。君はどうにも腰が引けていてヤキモキとしたものだよ。

残酷な描写あり

小説情報 短編 怖い:96 ID:321597かすがまる

ヤドカリ

「ヤドカリってさぁ、気に入った宿があると、他のヤドカリを追い出してでも手に入れるんだって」

「『宿借り』って書くんだよ。追い出されたヤドカリは裸で追い出されて、次の宿を当てもなく探すんだって、怖いよねー」

「怖い……?」
彼女は顔を伏せたまま、黙りこんで動かない。


ーーーーーーーーーーーーー
「ゆっくりでいいから、話してくれるかな」

私は待ち合わせた喫茶店の席で、目の前の少女に話しかけた。

ひとつの家族に突如としておとずれた、陰惨なあの事件の発覚から五年。
記者として、ずっと事件を追い続けてきた私は生き残りの少女にようやく辿り着き、真相を目前としていた。
この少女からは、十三歳の若々しく満ちる生命力はまるで感じられない。それどころか、彼女の深い闇に私はたじろいだ。
あの事件が幼少期の少女へと与えた影響は、どれだけ大きかったろう。確実にあの闇がいまの彼女を創っているのだ。私は少し戸惑いながら、少女の心の深い闇へとむかう。

R15 残酷な描写あり ホームドラマ 悲劇

小説情報 連載(全3部) 怖い:314 ID:351214

不快害虫

 今にして思えば。
 あの夏の日に俺の身に起きたのは、全然大した事じゃない。

 生きるの死ぬのの目どころか、そもそも怪我のひとつも負ってはいない。
 行くなと言われた場所に足を踏み入れたのでも、某かの封印を壊してしまったのでもない。
 家系にまつわる後暗い話があったわけでも、古くから続く悪因縁に取り込まれたわけでもない。
 だからあの体験は、所謂オカルトや怪談話から、とても遠いところにあるのだろう。

 でも、それでも。
 思い出せばひどく不快な心持ちになる。
 思い返せば心底不愉快な気持ちになる。
 それはそんな記憶だった。
 悪意の介在を感じずにはいられないアレを端的に言い表するなら、結局この言葉に落着する事になるだろう。

『不快害虫』

 あの日から俺は、袋菓子が嫌いになった。

怪談 厭 袋の中 悪意 菓子を食う度思い出せ

小説情報 連載(全2部) 怖い:113 ID:304467鵜狩三善

通るもの

私の部屋は二階にあった。南向きの大きな窓は道路に面していて、ちょうど真向かいの家の門扉の上には夜間に人が通ると灯りが点く、いわゆる人感センサーライトというものがつけられている。
ある晩、ふと窓の外を覗いた時、誰一人通っていないのにセンサーライトが点いたのを目撃する。犬や猫すら見えなかった。数日後、私は、子供の頃に経験した都市伝説のような恐ろしい出来事を思い出す。あそこを通っているもの、あれは、まさか……。

残酷な描写あり 怪談 現代(モダン)

小説情報 短編 怖い:84 ID:11877まあぷる

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