参加作品一覧
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ある夏の日のこと
俺、坂城 十矢は図書館にて時間を潰していました
クーラーの中に感じる、生暖かい違和感に気付かずに
そんな俺の前に一人の少女が現れます
遠野 弥宵と名乗る、可愛らしい彼女は、見ず知らずの俺に相談を持ちかけました
渋々承諾した十矢に彼女が語り始めたのは、
少し不思議で
少し不気味で
少し不格好で
少し不条理な、夢物語
彼女の夢は知らず知らずの内に、セカイを侵食していくのです
これは、俺の夢ですか? これは、君の夢ですか?
……、これは、誰の夢ですか?
不気味な夢物語の詰め合わせ、短編集です
じっとりとしたホラー、目指します
R15 残酷な描写あり 夢 怖い話
リーマンショックの余波で倒産した廃工場。そこには首つり自殺をした経営者の霊が出るとの噂があった。
――たかが噂話――
そうたかを括り,肝試しに訪れる若者が後を絶たない。
「出た」「いや出なかった」
そんな風評が更なる好奇心を煽り,ネットでも掲示板に書き込まれ,廃墟にも関わらず賑わいをみせるという皮肉な事態にまで発展した――が,それも一時の事。
すぐに「廃工場フィーバー」は過ぎ去り,今はまた人気のない廃工場へとその姿を変えた。
だが過去の噂を忘れない者がいる。当時はまだ幼くて探険出来なかった少年達が,数年の歳月を経てやって来たのだ……。
霊感少女 探険
東京で独り暮らしの高崎千夏は高校2年生…
高校に通いながらバイトもし、独りでの忙しい生活を送っていた。その歳の夏休み、久しぶりに実家に帰ってきた千夏は10歳くらいの男の子「リュウ」と出会う。
「僕はね、おねーちゃんの事なら何でも知ってるよ」
そう言ったリュウは昔の千夏の過去を話し出した。
そこから聞かされるのは千夏が忘れ去ろうとしていた昔の悲しい記憶…
そして、千夏はリュウが本当は何者なのかを知ることになった…
R15 残酷な描写あり ミステリー 森の守護者 約束 幽霊 心霊探偵八雲 神社 夏休み 里帰り
新しい時代の幕が開いてから既に十年という時間が経った。妖怪変化魑魅魍魎の住み難い時代となって、時が経ち過ぎた。
江戸の昔から生きているような古参の者からすれば、大正の今と云うのは世知辛いものだろう。人間も、妖怪にとっても、等しい地獄かも知れぬ。
そんな地獄の、或る夜の事だ。
―――暗黒の森を貫く豪雨。捨てられて幾年の山小屋。煌々と照る洋灯。遠雷。
黒衣の僧侶、濡れ鼠の書生、傴僂(せむし)男、一人の闖入者、私。
登場人物は全て揃っていた。完璧な状況、整った舞台、その只中に私も存在していた。
その時私は主人公でなく、登場人物の一人であり、舞台の一つであり、夜を成す歯車の一つであった。
十の歯車は重苦しく軋み、妖どもを集めていた。否、集め終わっていた。
そして始まった。私が生涯忘れ得ぬ雨夜の顛末、鏑矢は彼の一声から。
「一興、怪談会と洒落込もうかエ。」
残酷な描写あり 明治/大正
大学二年生、こいつらに長い休みを与えてはいけない。
有り余る若さは大抵の場合、度を超える火遊びをしてしまう物だからだ。
僕は黒ぶち眼鏡を曇らせて、うだる暑さの中、こんな事を考えていた。
この夏はサークルで肝試しをする事になった。
僕にとっては悪夢の様な事だが、男ばかりの文芸サークルは女子を呼べるという事でいつもより興奮していた。
佐々木部長は背が高く痩せすぎの体をしゃんとすると、にんまりと僕たちに笑いかけてきた。
「しかもただ、肝試しする訳ではない。そこに定点カメラを仕掛けようと思う。」
「はあ。定点カメラですか。」
「うん。そうすれば、後で鑑賞会と銘打って女の子を呼ぶ事が出来る!」
「おー!そして、キャーとか悲鳴を上げた女の子に抱きついてもらえるという寸法ですな。」
僕の隣にいた金本と言う筋肉の固まりが声を上げた。
「運命の出会いとかありそうですね!」
女顔の中田が目をキラキラさせている。少女趣味と言うネジが一本抜けている趣味を持っている。
「てか女の子の手配をする俺をほめろよ‥。」
イケメンだがバカの鈴木がすねている。
何も起きない。その時はそう思っていた。
鏡師のNは、幼い時分に両親に見捨てられた体験から鏡に自身を映す事で自我を保って来た。
しかし、鏡への執着が増して造った鏡部屋で自分を見つめている内に、鏡像に言い知れぬ違和感を覚えるようになる。
徐々に自分と鏡像との齟齬が広がっていき、ついには発作的に鏡部屋を破壊して倒れてしまう。
病室で目覚めたNは、医師からしばらく入院して鏡のない生活をするよう告げられる。
けれど、誰も見舞いに訪れない孤独感と異様な病院の雰囲気も相まって、Nの精神はまたも不安定な状態に陥っていく。
鏡 夏
カン……カン……。
足音はゆっくりと、だが着実に階段を上って来る。
じわり、じわりと、“それ”は忍び寄って来る。
カン……カン……。
「私も、今年からK大学の文学部なんです。こんな偶然って、あるんですね」
そう言うと、隣に住む黒髪の美少女は少し照れ臭そうに微笑った。
受験戦争を終え、無事大学に進学した俺は、今日からこの町で一人暮らしを始める。
国道から車で五分とかからない場所に建てられたアパート。道路と山と畑しかないこの長閑な風景が変貌しようなどと、誰が思えただろうか。
カン……カン……パタ……。
足音が響かなくなる。階段を上り切り、コンクリートの通路まで上がって来たのだ。
心臓が、早鐘のように鳴る。
「お兄ちゃん、靴箱の中に変な砂みたいな物があったんだけど」
始まりは、些細な事だった。俺にとってそれは、引越しの片付けの一環でしかなかった。
白い紙の上に盛られた、黒い砂のようなモノ。
「何だこれ……。外に捨てて来る」
コツ……と玄関の扉に何かが当たる音がした。
「地元民の間じゃ有名なんだけどさ……あのアパートは、憑かれてるんだよ。
噂を知ってる人達には、こう呼ばれている……」
≪逢魔荘≫
――「奴」はもう、中にいる。
怪談 シリアス オカルト 現代(モダン) 大学生
――やってしまった。
後悔先に立たず、とはよく言ったものだ。頭に血が上って、頭の中が真っ白になって――そこから先はよく覚えていない。
気がつけば、あいつが床に転がっていた。
どうしよう。どこに隠そう。
死体の隠し場所なんて見当もつかないし、考えてみたことさえない。第一、隠したところでいつかは見つかってしまうのではないだろうか。
そんなことになったら……俺の人生はおしまいだ。しかし、このままここに置いておくわけにはいかない。
――どうしよう。どこに隠そう。
堂々巡りを続ける思考に、突然、嘲笑うような、誘うような声が割り込む。
「俺が何とかしてやろうか」
囁くような声はベッドの下から――。
R15 残酷な描写あり 殺人 食人 白い靄
都会にお住まいの方は、時々、田舎へ行きたくなることはないだろうか。
渇いた植物が水を欲しがるように。無味乾燥な雑踏から遠ざかり、溢れる自然に触れたい。そんな気分になることは?
夏になると、そんな傾向は殊更、顕著だ。みんなどうにか休みを取って、海へ山へと押し掛ける。それこそ短い夏を精一杯、記憶に刻みつけようと、非日常を求めて刹那の冒険に出掛ける。かつて大自然の中で暮らしていた人間の、本能としての欲求なのかもしれない。どうも夏というのは、人間を開放的にする作用があるらしい。
だけど、それはきっと、人間だけじゃなくて……。
あぁ、僕の求めた非日常は、こんな理不尽じゃない!
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あんな騒ぎになる等と、誰が予測出来ただろう。
最初は、ただの肝試しだったのだ。
近所の廃墟に行って、ああ怖かったで終わる筈だったのに。
「見られてる!
ずっと見られているんだ!」
そう叫んで、幼馴染は自宅マンションの窓から飛び降りた。
地上12階から、アスファルトに激突した幼馴染は助からなかった。
「嫌だ、近付くな! お前なんか知らない!」
搬送された病院で何日も昏睡が続いた先輩は、最後にそう叫んで息を引き取った。
まるで何者かに生気を吸い尽くされたかのように、やつれ果て頬の扱けた先輩は、目だけをぎらぎらさせていた。
最後に残された私は、再びあの廃墟に向かう。
私が残された理由を探す為に。